大黒摩季「Happiness」

Kei-T

2005年07月26日 21:00

大黒摩季Live@広島まであと3日だ。そろそろ準備を整えなくちゃな。

今回のアルバム"Happiness"、俺は摩季ちゃんのアルバムの中でも「明」の名盤だととらえている。

「明」、もっと具体的に例えて言えば「陽=Sun」のカラー。

対照的に、俺が最も好きなアルバムであり、また大黒摩季の全作品中最も完成度の高いアルバムだと思う"O"アルバムは「暗」、すなわち「影=Moon」の部分が投影された名盤だという感じ…

楽曲の完成度、アルバムの熟成度では、"Happiness"はやや散漫というか煮え切ってない部分が多い。世間一般に言う「捨て曲」も"O"に比べて多い。NHKの番組で"Precious Pleasures"を聴いた時、正直アルバムの出来が相当に不安になったんだが、その時のことが緩衝剤になったか(!?)アルバムを実際に聴いた時の第一印象は

「地味だけど悪くないよね」「円くなったなぁ」というものだった。

想像よりも酷くなかった、という感じでした。
"Presents"のことを考えるとそれよりはずっと良い、と…
それでも楽曲の良さでは前作"Rhythm Black"の方が勝っている。

そして何よりこれまでの作品に必ずあった良い意味での緊迫感というかスリリングさ=EDGEが薄まっているのも気になった。

その意味では一曲一曲に光をあてると凄くいい曲もたくさんあるんだけど、今回のアルバムはアルバム全体としてみた時のインパクトが薄かったのである。"O"と"Presents"を足して2で割ったような感じのアルバム、というのが俺が"Happiness"に対して抱いた印象である。

こうして書くと
「そこまでいちゃもんつけて何が名盤!?」と思われるかもしれない。
けどね、このアルバム、完成度という範疇では語れない良さがあるんだ。

本当に飽きのこない一枚なんですよね。
繰り返し繰り返し何度も聴いちゃう魅力があるんですよ。
少しずつ作品のメッセージがリスナーのハートを魅了していくわけです。
ある種「するめ」みたいな、徐々に浸透していくタイプの作品…
加えて言うなら、エンジニアリングの音作り全般が今回のアルバムは非常に良い。サウンドの組み方、特にVocalの処理に関しては近年の大黒作品の中では秀逸だと思う。

アルバムの曲中最も好きなのは「負け犬のSHOUT!!」、続いて「南風に乗って」「ASAHI~Shine & Groove~」なんだけど。

「負け犬のSHOUT!!」は楽曲の出来もVocalも演奏もプロダクションもMixdownもほぼ完璧と言っても良い、近年稀にみるほどに素晴らしい内容を誇っているんだが、ただ一点、アレンジャーの責で非常に惜しまれる点がある。

シンセサイザーのブラスリフがほぼまんま、しばたはつみの「シンガーレディ」という楽曲に採用されているものと同じなのである。

「シンガーレディ」という楽曲は随分昔の曲であるからして、偶然の一致であることを祈らずにはいられないけど…もし意図的にアレンジャーが拝借したとしたならちょっといただけない。

まっ、それに目をつぶってもこの曲はLIVEで聴けることが非常に楽しみ。
Percussionも前に出たアレンジだし、スティーヴ衛藤のプレイを存分に堪能できるものと思われる。

それも含めてだが今回のLiveではいわゆる「定番どころ」を極力減らして、新曲や東芝EMI移籍後発表したアルバム収録曲から中心にやってほしい、と思うんだが…

東芝EMIに移籍して以降の楽曲の良さはBeing時代にはないものだし、埋もれさせておくのは勿体ない。それに現実的な問題として、摩季ちゃんの現在の声質やキーが、Being時代の楽曲を再現するには少々辛くなってきているというのもある。東芝EMI移籍以降の楽曲の方がより現在の歌心にあっている。

正直、「ら・ら・ら」はもういいかな…
「ら・ら・ら」をやるならそれよりも「虹ヲコエテ」を俺は聴きたい。
「熱くなれ」よりも「アイデンティティ」を聴きたい。
過去も大事だけど、それ以上に「これからの大黒摩季」を感じさせるSet Listを組んでほしいと願って止まない。

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