2008年06月12日

青木智仁さんに寄せて

あれからもう、2年…
今日は、青木智仁氏の誕生日であると同時に、命日でした。

青木智仁。
いまさら説明するまでもない、日本を代表する、ベースプレイヤー。角松敏生とのコラボがあまりにも著名だが、他アーティストへの参加セッションにも、そして自身のバンドやソロにおいても、素晴らしいベースをもって、楽曲に息吹をふきこんでくださってきました。

急逝されたとの報に接した時にはショックで何も手につかない状態が長く続きました…しかも、急性心不全…

コージー・パウエルの時もそうでしたが、人間の生命は明日にはどうなってるかわからない、という現実に痛烈に殴られた俺にとって、青木さんの訃報は、改めて人生観っていうものを考える、大きな転換点となりました…

そんな俺がベースプレイヤー青木智仁に初めて衝撃を受けたのは、栗林誠一郎のアルバム"Summer Illusion"で、でした。この中に収録されている"Sick Night"という楽曲のベース聴いて、こんなにきらびやかなベースプレイもあるんだ、って…衝撃を受けココロを奪われたのを、つい先日のことのように思い出します。

しかし、いろいろ聴きこんで、調べていくうちに、俺の「初青木」はこの曲ではなかったことが判明するわけです。

高校時代、吹奏楽部に所属していた俺はフレンチホルンを吹いてたわけですが、それとは別に、POPな楽曲とかではフレンチホルンから離れ、エレキベース要員にまわってたんです。

俺は、実に「悪い吹奏楽部員」でして、ベースに関してはアレンジされている譜面をそのまま弾くことをしない人でした。勿論基本となるコードやルートはおさえつつ、それを踏まえてベースラインを自らアレンジしたものを、合奏では持ち込んで弾いていました。

だって、こう言っちゃアレだけど…
吹奏楽用にアレンジされたベースの譜面のなんとツマランことといったら。大人数の集合体だからしぜんそうなるのもわからんでもないが、殆どがコードの根音をなぞって一定のリズムを与えてるだけなんだもん。底辺のひろがりやら歌心なんて、あったもんじゃない。

それに、「ニューサウンズ・イン・ブラス」での音盤を聴くと、エレキベース、結構譜面に無いフレイズ弾いてたりするじゃないっすか、譜面の模範となるべき音盤にあっても(爆)、ベース、割と(良い意味で)崩しても全然いいじゃないっすか、と。

だから吹奏楽のベースは譜面にとらわれなくてもいい、という俺個人の判断から、POPな曲やらヒット曲やらでは原曲のベース寄りなプレイをしてたんですよ。顧問泣かせというかアレンジャー泣かせというか…

で。
そんなある年の定期演奏会にて、「杏里メドレー」というのをやることになりました。「オリビアを聴きながら」とか、一連のヒットソングを繋げたアレンジ…

この当時、俺は杏里をまったく聴いたことがありませんでした。しかしながらこの「杏里メドレー」やるにあたって、原曲のベースをさらうべく、当時、ベスト盤を買いまして…

その中に、ひときわココロを奪われた楽曲があったんです。

それが「悲しみが止まらない」

当時青木さんのことは名前ぐらいしか知らなくて、一方大御所どころの高水健司氏(=大仏さん)とかのプレイはユーミン他諸々で結構聴きこんできてて…

ベスト盤にはミュージシャンクレジットなどなかったもんで、この曲、当時の俺は、大仏さんが弾いとるもんだとばっか思ってたんです。プレイスタイルもサウンドも、大仏さんのカラーだった。そしてこの音盤に入ってた「CAT'S EYE」で聴けるベースソロにもやられた俺は、誰のテイクかわからんままにベース、コピーしまくってた…

後に判明するわけです。
それらのプレイが、すべて青木智仁そのひとのテイクだったということが。そう、この頃の杏里は、角松敏生のアレンジで歌ってたんです。

名も知らぬプレイヤーのベースプレイに、魅せられてたんですね。名前という先入観がない状態でのそれだから、真に純なエモーションだったのでしょうね…

俺の方向性は青木さんのプレイスタイルとは異なります。が、自分にない世界観のベースプレイだからこそ尚の事ですが、青木さんへのリスペクトの念はとても強いのです。

俺が現在メインで起用しているATELIER Zというベースブランドは、青木さんの愛用してた…のみならず、青木さんと本橋社長との二人三脚で育っていったブランドでもあります。偶然にも青木さんと同じブランドのベースを、1998年から手にし、愛し続けている俺なんです。

青木さんのスピリッツは、現在もM#245やM#265といった、ATELIER Zラインナップの中に、そして製品化されたすべてのATELIER Zに永遠に生き続けます。

今後も精進していこうとの想いを、毎年この6月12日になるとあらたにする俺なのでありました…

今日はいつになく真面目に、しかも長く綴ってみました。


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